丘の上に月が昇る・続

◆イタリアSF友の会◆

Alla conquista della luna

エミリオ・サルガーリの短篇小説「月征服」(Alla conquista della luna)。原文は著作権切れのイタリア語作品を集めたliberliber(http://www.liberliber.it)で読めます。発表年は不明。

時は19世紀末、2人の老科学者がカナリア諸島のとある小さな島で怪しげな実験を行なっていた。島民は興味津々で2人の行動を観察する。実は2人は月へ行くための飛行機械を組み立てていたのだ。

その飛行機械とはこんな感じ。

dalla terra_1.JPG

(『Dalla Terra alle Stelle: Tre Secoli di Fantascienza e Utopie italiane(地球から星々へ:イタリアのSFとユートピアの三世紀)』から)

ドーム型でプロペラがついた飛行機械だ。外側に貼られた特殊な鏡で太陽光を受けて、光を熱に変え、水を沸騰させて動力にする(太陽光による蒸気機関といえる)という仕組みらしい。この動力を使ってプロペラを回し、空に飛び立つというわけだ。島の住民たちが見守る中、2人の乗った飛行機械はプロペラを回して上昇、大気圏を突破して月へ向かう。それから2人はどうなったのか? 無事に月へ着けたのだろうか? 

同著者の『二十一世紀の驚異』でもそうだったが、どういう仕組みで機械が動くのかとか、大気圏を越えるとどういう問題が生じるのかとか、きちんと書かれていておもしろい。